タイライフ おがしゃ

THAI LIFE OGASHA 旅すること 

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プロローグ 

旅の始まり

俺はいつから一人旅を始めたのかを思い出した。

 

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世界中のバックパッカーが自由奔放なタイ・カオサンに集うように、俺もカオサンという響きに魅かれていった。

 

チャオプラヤ川とその川辺に暮らす優雅な時間の流れに、誰しもが祖国の慌ただしい生活から解放されていく。

 

俺も日本の会社員として仕事に忙殺されてきたからだ。

そう、息ができないほどの満員電車で「何のために生きてるんだろう」とふと思ったりもした。

 

2008年はリーマンショックですべての金融投資の希望がもろくも崩れ去っていった。

仕事も私生活も荒れて、心を正気で保っていることが難しかった。

そんな時にふと沢木耕太郎「深夜特急」を再び読み返した。

 

困難な時はいつも何かの本に助けられてきた。

 

「少しの期間でいいから旅に出よう」

 

俺は小さなバックパック一つで、今まで行ったことのなかったタイ・カオサンを目指した。

この時が本当の一人旅の始まりだったのかもしれない。

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カオサンは急激な変化が起きていた。ファッショナブルな観光地となり、高級ホテルが建設され、周辺の物価が上昇していった。

次第にバックパッカー達が敬遠していくカオサン。

 

交通の便の悪さからも日本のバックパッカー達は高架鉄道BTSや地下鉄MRT駅周辺の安宿やホステルへと移っていった。

日本の女性一人旅も増えて、安全で安心できる地域の宿を求めていくようになった。

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カオサンでは世界中から沈没組、外こもりなどと呼ばれる人達がビザランによって何年もタイに滞在するようになっていった。

 

俺は今でもカオサンが好きで、安宿のゲストハウスに泊まることもある。

時の流れによって、次第に自由奔放な気質に変わっていったのだ。

孤独感がかえって心の強さを育ててくれるようになった。

窓付きの小さな個室が確保されればそれだけで満足できるのだ。

 

俺の旅はここカオサンから始まったのだ。