流星 おがしゃのブログ

冒険という夢を追いかけて世界を旅するフラッシュパッカー ゼロからのブログ

小説1 キューボール

金曜日の深夜、小笠原吉行は東京のプールバーでサイドテーブルにビールグラスを置いてキューボールを突いていた。

ほぼ毎日のように小笠原は仕事を終えた後、自然に足がプールバーに向かっていた。外は桜の花が散って葉桜の季節に移り変わっている。

周りはビリヤード台を囲んで、お酒を飲みながら男女のグループが会話を楽しんでいる。お酒を飲みながら盛んに歓声をあげてビリヤードを楽しんでいた。

 

小笠原は一人でボウラードゲームをプレイしている。店のオーナーとは顔なじみでいつもの端に置いてある台を開けていてくれるのだった。

ボウラードゲームとは一人でもできるゲームでプロ公式テストでも採用されている、例えるなら点数制のボーリングみたいなものだと思ってもらえればいい。

日本ではプロになってもビリヤードの賞金だけでは食べていけず、何かの副業を持っているのが殆どだ、いや副業がプロのビリヤードなのかもしれない。

 

 

小笠原は黙々とボウラードゲームをしていると一緒にやろうと一人の男に声をかけられた。

その男は町田と名乗り、日焼けした爽やかな笑顔で店員にビールを注文した。

 

「はじめまして小笠原です、よろしくお願いします」

「えっと歳は28歳です」

「小笠原さんは28歳?じゃ僕はちょっと先輩かな・・・あはは、よろしくね」

「9ボールそれとも8ボール?どっちにする?」髪を後ろで束ねた町田は長身かつ痩せ型で俳優のような容姿を備えていた。

「8ボールでやりましょうか」

小笠原は豪快なプレーができる8ボールを好んでいた。8ボールは15番までの球を使い、1~7番をローボール、9~15番をハイボールと呼び、最後に8ボールを宣言したポケットに落としたプレイヤーが勝利というルールだ。

 

町田ばグローブをした手でキューにチョークを擦りながら言った。 

「せっかくだから何か賭けようか?」

小笠原は初めての相手なので遠慮がちに応えた。

「じゃあ、ゲーム代というのはどうでしょうか?」

日本のビリヤードは時間制が多いが、マスターの計らいで1ゲームでの料金制にしてくれた。勝利時点で相手の残った球数をマイナス点数制にした。 

ブレイクショットに力が入る小笠原。

球は1つだけポケットに入った。6番、ローボールだ。

そして小笠原は次々とローボールを沈めていく。

8ボールを含めて残り三つ・・・しかしもう落とせない、ファールをしてしまう。

小笠原は相手に手番を渡すためにキューボールをセーフティショットした。

 

いつの間にか周りはギャラリーが観戦していた。あれだけ騒がしかった店内は二人のゲームのために静寂していた。

町田はビールを飲み、VAPEを燻らせていた。次は彼の番だ。

 

彼は次々とハイボールを沈めていく、彼の指先は長くて器用だった、まるでミュージシャンがギターを弾いているように見えた。彼の瞳には時折、青い光が放っているのが感じられた。

彼は8ボールを残してファールした。

「シット・・・やっちゃったよ、ハハハ・・・」

小笠原は、それが町田のファーストプレイの挨拶なのか迷ったが、残りのローボール2つを沈め、ポケットを宣言して8ボールを沈めた。

 

周りから歓声が上がる。

 

f:id:ogasha:20161026194714j:plain

 

www.zerokaranoblog.com

www.zerokaranoblog.com

www.zerokaranoblog.com

www.zerokaranoblog.com

www.zerokaranoblog.com

www.zerokaranoblog.com

ogasha.hatenablog.com

ogasha.hatenablog.com