流星 おがしゃのブログ

冒険という夢を追いかけて世界を旅するフラッシュパッカー ゼロからのブログ

小説5 キューボール

5

日本化学生物研究所、野沢博士の助手である今村彩花は真っ赤なミニクーパーに乗って筑波宇宙科学センターへ向かっていた。

運転しながらハンズフリーイヤフォンで誰かと会話していた 。英語だ。

『はい・・・ええ、今そちらに向かっています』

『そうですか・・・やはり・・・』

 

彩花は辛辣な表情で顔を歪めた。

 

『大丈夫です、データは消去される前に・・・』

『ええ、気づかれていません』

『はい・・・わかりました』

 

ハンドルを軽く叩き、そして深い溜息をついた。

 

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筑波宇宙科学センターにはNASAの関係者も在籍しており、世界の科学者によって様々な研究が行われていた。その一角には研究センター内でも一部の人間しか知られていない国際諜報機関も入居していた。

 

今村彩花はその諜報機関の一員でもあった。

 

セキュリティ認証をいくつも通過した後、地下12階にある施設に向かっていた。 

いくつかの扉内では殺菌噴霧が行われ、地上からの細菌を一切寄せ付けない厳重な対策がされていた。 

 

扉が開いた。

『やぁ、アヤカ、待っていたよ』

その男は英語で話す。

『ボス、先程の話は本当ですか? 先生・・・いや野沢博士が・・・』

『ああ、どうやら実験は成功したようだ。しかし、彼女はそのデータを持ち出した・・・今は、セキュリティ部隊がどこへ送ったのか解析中だ』

 

『野沢博士が裏切るとは・・』ボスと呼ばれる男は米国諜報機関に籍を置く。

『アヤカ、君は消去される前のデータを持っているよね?』

『ええ、このスマートフォンの中にありますが、直近のデータしかありません』

 

彩花はボスにスマートフォンを渡した。

ボスは部下に彩花のスマートフォンを渡してデータ解析を指示した。

 

更に部下に強い口調で命令した。

『博士のロジアへの亡命を防ぐんだ・・・あらゆる手を尽くせ!』

 

司令局より各地の諜報部員に指令が伝達された・・・最悪は死を・・・

 

・・・・・

今村彩花は筑波宇宙科学センターを後にした。

彼女は自宅マンションに戻り、スナイパーライフルAWPをボストンバッグに詰め、サプレッサーと拳銃ベレッタM92を装備点検した。

パスポートとドルそして旅行用の着替えなどをバッグに詰め込んだ。

 

そして準備が終わると明日以降の行動に備えてシャワーを浴び、精神的疲労を癒すためにブランデーMAROLO GARAPPA をグラスに注いで飲んでいた。膝には猫のラグドールが甘えている。彼女は優しい顔つきになり、頭を撫でながら窓辺から月夜に照らされている桜の木を眺めていた。

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夜風に桜が散っていく・・・

彩花はこの日が訪れるのを恐れていた・・・

いつまでも研究室で先生の助手をしていたかった・・・

平和がいつまでも続いていて欲しかった・・・

 

彩花の涙が猫に零れ落ちた。

 

猫のラグドールが悲しそうな声で鳴いていた。 

 

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