流星 おがしゃのブログ

冒険という夢を追いかけて世界を旅しています。いつしか世界中を巡り自分の居場所を探し出したいと考えています。 

旅すること

人生で一番幸せな時の流れ

小説7 キューボール

7

プールバーは様々な外国語が飛び交っていた。そして、キューボールの衝突音が静かなジャズとリズムを合わせてセッションしているかのようだった。

 

小笠原は町田に話しかけた。

「町田さんと野沢さんとはどういう関係なんですか?あっすみません。今日お会いしたばかりなのに・・・」

「いや、いいんだ。僕と野沢さんはアメリカで知り合ったんだ。ちょうど彼女が今日みたいにプールバーでビリヤードをしている東洋人の僕を珍しがってね。それで声を掛けたっていう訳さ」

野沢加奈枝は昔の思い出を懐かしむような表情をした。

 「それで、彼女と話していると学部は違うけど同じ大学だったことが判ってね、一気に仲が良くなったんだ、でも彼女は忙しくてね・・・医学部なんだよ野沢さんは」

 

 

小笠原は町田の話に驚いた。

「ハーバード大学ですか!お二人とも!・・・僕なんかお付き合いできる人間じゃないですよ・・・先生じゃないですか!あはは」

小笠原は自分の事を話した。大学院でコンピュータサイエンスを学んでいたことや仕事が人工知能の開発に携わっていること、恋人ができてもすぐに別れてしまう悩みなど。

 

 「ところで僕、お邪魔じゃなかったですか?」

「いやいや、重要な話はもう済んでいるから・・・なぁ」

「・・・重要な話?」

「町田さん!もう!重要な話なんかしてないわよ!」

「そうだったね。ごめんごめん。あっ、だから小笠原くん、全然お邪魔じゃないよ、一緒にいると楽しいからさ、ハハハ」

 

野沢加奈枝は寡黙な女性だった。そして、ふと何かを考えているように一カ所を見つめる癖がある。その容姿は氷のような繊細な美しさを持っていた。

野沢加奈枝と町田が二人で創る空間はまるで映画のワンシーンのようだった。

 

加奈枝が小笠原に聞いた。

「小笠原さんはセキュリティにも強いのかしら?」

「えっ、もちろんハッカーでもサイバー警察官にもなれますよ。人工知能で攻撃することも・・・あっそんな事しませんけどね・・・ハハハ」

「・・・そうなのね。小笠原さん」

小笠原は加奈枝に見つめられ心臓が高鳴った。

 

しばらく三人は今後の技術で世界がどのように変わっていくのかなどプールバーには不釣り合いな会話をしていた。

加奈枝と町田はVAPEを燻らせながら小笠原の人口知能に関する話を聞いていた。

一瞬二人の瞳には青い光が放ったかの様に見えた。

 

プールバーの店内には三人を遠くから時折見ている外国人たちがいた。

欧州系と思われる彼らはビリヤードをプレイしながらも静かに一人の女性の動きを観察していた。

 

プールバーはビリー・エクスタインのNO ONE BUT YOUが静かに流れていた・・・

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