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キューボール #9 フェリーの旅

 新潟発、秋田経由の苫小牧東港行きのフェリーがある。約18時間の旅程だ。新潟発23:15ー秋田 翌日5:50着7:00発ー苫小牧東港17:20着。

 このフェリーに野沢と町田そして小笠原が乗船していた。野沢はスイートルームだ。

小笠原はMacBookProでしきりにキーボードを叩いていた。その横では町田がスマートフォンを分解してグラスを掛けながら半田ごてをしている。

 

「町田さん、なんかワクワクしますね。僕はこういった場面に憧れていたんですよ」

小笠原は昨夜からの出来事に興奮気味に言った。

町田は手を止めグラスを頭にずらして応えた。

「巻き込んじゃったね。ほら、改造したスマホだ。完成したぞ。これでもう追跡されることがない。君のプログラムで動作する」

「えっ、もうできたんですか。じゃ早速アップロードしますね」

二人はお互いに微笑みグーでパンチのHandshakeをした。

 

 フェリーのデッキでは野沢加奈枝が星空を眺めていた。綺麗な星空だった。風はまだ肌寒い。一つの星を見つめていると星が流れた。

「あっ、流星だ。願い事しなきゃ!」彼女はつぶやき、心で願い事を言った。何を願ったのだろう。長い髪が夜風に靡いていた。彼女はポケットからVAPEを取り出して深い息を吸った。VAPEの蒸気が彼女の口からデッキの後方に流れていく。甘い香りが漂っていた。

 

 日本海は穏やかに旅人たちを迎えてくれていた。フェリーは優しく規律的振動で旅人たちの眠りを誘っていた。