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キューボール #12 潜水艦

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  秋田港はロシア・ウラジオストクや中国への定期便が就航している。朝早い秋田フェリーターミナルには一人の男が待っていた。ロシア製の紙煙草を吸い、サングラスをかけていた。アーノルドシュワルツェネッガー似のロシア人だった。

 

 野沢博士と二人の男は秋田港で下船していた。朝の6時だった。新潟から北海道の苫小牧東港の航路途中になる。下船客は稀だった。

『お待ちしておりました、どうぞこちらです』ロシア人の体格がいい諜報員らしき人物が声をかけた。同時に吸っていた煙草を足でもみ消していた。

 

 町田がロシア人のIDを確認する。

『やあ、じゃ早速行こうか』挨拶も程々に、4人は黒いゴムボードに乗って秋田港を出発した。黒いゴムボードは朝日の中を轟音とともに日本海を走っている。波が穏やかとはいえゴムボードは水しぶきを上げながら進んでいく。約30分程するとボードはスピードを緩めた。

 海上には潜水艦が浮上して来ていた。潜水艦のハッチが開き、艦長が挨拶するとともに4人は艦内に入った。再び潜水艦は海中に潜っていった。

 

『野沢博士、お待ちしておりました。私が艦長のアリベルトです』艦長は手を差し伸べ挨拶した。

『野沢です。艦長、よろしく。こちらの二人が町田さん、小笠原さんです』

『町田です。今回の件ではお世話になります。それから、小笠原くんは人工知能開発における技術者です。想定外のことが起きまして一緒に来てもらっています』町田が握手とともに小笠原を紹介する。

「ロシア語話せませんけど、小笠原です。もう、何だかよくわかりませんがよろしくお願いします」小笠原は英語で挨拶すると艦長はたどたどしい日本語で話した。

「小笠原さん、歓迎します。ありがとう!」

4人が笑顔になった。

 

 潜水艦の艦内は狭い。それでも野沢博士には個室が用意されていた。町田と小笠原には二段ベットが用意されていた。これからどこへ向かうかもわからず、小笠原は不安もあったが、冒険という夢が現実となって心を躍らせていた。

 

 小笠原は 移動の疲れなのかいつしか眠りについた。野沢博士と町田は今後の予定を野沢博士の部屋で打ち合わせをしていた。潜水艦は北極へ向かって進んでいく。艦内は暖房が入り氷の下をゆっくりと進んでいった。鯨が潜水艦を恐れるように航路を避けていった。VAPEを燻らせる野沢博士と町田・・・・・・青い光が二人の目に映っていた。