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キューボール #13 情報戦

13

函館18時

 

 将棋の名人戦は終盤を迎えていた。佐藤天彦名人が優勢だった。またしても羽生三冠は、佐藤名人に敗れるのか?世代交代の波が押し寄せていた。緊迫する盤上では羽生三冠の手が震えて次の一手を指した。大盤解説会場が騒めく。誰も予想していなかった手だからだ。解説者が頭を抱える。羽生三冠が優勢に転じた。ポナンザも佐藤名人から羽生三冠の優勢に数値を逆転させていた。将棋とは逆転のゲームである、たった一手で形勢が変わるのだ。

 

 彩花と一巳は仲間の諜報員とホテルのフロアーで会って情報を入手した。野沢博士の仲間と思われる二人のうち一人の情報を入手したとのことだった。小笠原吉行、28歳。人工知能開発者としてグローバル企業に勤めている。しかし、素性は不明だ。天才的技術者らしい。しかも、もう一人の男の正体は全く不明である。

 

 一巳が情報から困惑した表情で彩花に言った。

『アヤカ、もしかしたらもう博士は日本を脱出したかもしれないぞ。北海道には来ないんじゃないか?』

『ええ、無駄足を負わせてしまったかしら』悲しそうな表情で彩花が応える。

『先回りしないか? 飛行機で。ロシアならモスクワへ』彩花はスマートフォンを取り出してスカイスキャナーで検索した。

『上海経由ならモスクワに千歳空港から行けるわ。今二人分を予約するから』

『よし! モスクワに行こう。ところで上海で一泊してカニ食べないか?』

『何言ってんですかー! 上海蟹は美味しいですけど・・・・・・

『じゃ、上海で一泊してからというスケジュールで予約しちゃって』

『一巳さん、もう遊びじゃないんですよー』彩花は上海の航空券とセットでホテルも同時に予約完了した。

 

 函館から千歳空港まで彩花たちは車を走らせた。約3時間30分程で千歳空港に着いた。

『なんか私たちテキトーじゃないですか?』彩花が一巳に戸惑いながら話した。

『アヤカ、これは君の旅なんだよ。博士と一緒にいた君にしかできない。だいいち僕らは博士を見つけ出すことだけが任務だろ。殺せという指令は承諾できない』

彩花は悲しそうな顔をした。

『野沢博士を殺すなんて・・・・・・信じられない』

 

 二人は千歳空港にて上海行きの航空機にチェックインして乗り込んだ。確かな情報もなくモスクワに行くことだけが彩花の感だった。

 

つくば市内のベットホテルにいるラグドールのティが眠っていた。

 

将棋の名人戦の第3局は羽生三冠が勝利した。