タイライフ おがしゃ

THAI LIFE OGASHA 旅すること 

MENU

キューボール #16 狙われていたモスクワ

16

 モスクワは巨大地下都市が存在する。第三次世界大戦に備えた核シェルターの都市である。モスクワ市民が全員暮らせる規模を誇る。最低でも10年は過ごせる食料倉庫や娯楽施設はもちろんのこと、動物を飼育したり植物を育てることも可能となっている。

 当然のことだが軍事施設も備えているため治安部隊も配備できている。機密の地下鉄さえ現状の地下鉄より更に深く掘られ、施設間の移動に使われるように配備されている。

 旧ソ連のスターリン時代からアメリカとの核戦争に備えた設計になっていた。現代のプーチン大統領によって改良され、地下深くへと更に施設開発が進められている。地下マントルまで届くかのように地下施設は巨大な迷路を持っていた。その一室には軍事兵器分野の研究開発も行われていた。

 

 上海でロシアビザを取得することは可能だ。しかし諜報員の彩花と一巳はロシアビザがパスポートに貼られている。上海諜報員の仲間が持ってきてくれていたからだ。

 

 モスクワ空港に降り立った二人はロシア潜伏の仲間と連絡し、用心深くホテルまでタクシーで向かった。タクシーに乗り30分ほど経過した時に反対車線から猛スピードで走ってくる車が見えた。

『アヤカ、頭を伏せろ!』

反対車線の黒い車から銃が何発か打ち込まれた。タクシー運転手に弾が当たり車は方向を失った。一巳は素早く運転席に移り車の向きを立て直す。黒い車はUターンしてタクシー後方から追いかけてきている。アヤカはバッグからスナイパーライフルを素早く組み立て、リアガラスを割って後方の車に狙いを定めた。鈍い銃声とともに後方の黒い車は一瞬で爆発炎上した。

 

『一巳! 空港で連絡した仲間の情報が怪しいわ!』

『行き先を変えよう! しばらくスマホは使えない』スナイパーライフルを再び分解してバッグにしまい彩花は言った。

 『情報が漏れているわ。イギリスに行って情報を分析したい』

『そうだな、これじゃ針のむしろだ。一旦、モスクワ市内で潜伏したあとイギリスで情報を収集しよう』一巳は隣のタクシー運転手が即死であることを確認しながら応えた。

 

 二人は地下鉄駅の近くにタクシーを乗り捨てて、路地裏へ潜り込んだ。二人は周囲を確認し、地下鉄からモスクワ市内行の電車へ乗り込んだ。

 

モスクワは冷たい雨が激しく降り出した。