流星 おがしゃのブログ

冒険という夢を追いかけて世界を旅しています。いつしか世界中を巡り自分の居場所を探し出したいと考えています。 

旅すること

人生で一番幸せな時の流れ

キューボール #19 地球儀

19

   地球がゆっくりと回る。小さな地球、不思議な地球。 雲で覆われて地上を見ることができない。

   でも大丈夫だよ。この地球を覗き込むことはしない。地球がまるで不思議な宝石のように輝いている。僅かな太陽光を頼りに回り続ける地球。

 

    地上では人間の愚かなる現実と思想の争いが絶えない。核が使われた光は桃色のかすみ網ような閃光が走る。

 

    大国は勝者と敗者の姿を見せつける残虐性を好む。無慈悲な戦いの場が繰り返されていた。

 

  朝露が木の芽を濡らす。

  新たな命が再び生まれるのだ。

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   白装束を纏った「ASANO」は自然に回り続ける地球儀を眺めていた。

   彼は日本人だ。ロシアに新興宗教を起こして若者を中心に信者を増やしていった。アニメのコスプレがロシアで流行したのと同じように、この新興宗教も教祖が演じる世紀末のパフォーマンスに信者たちが酔いしれて入団していったのだった。

   「ASANO」は信者に恐怖を植え付けていった。行方不明となる信者は教団に殺害され、跡形もない粉となって散っていった。

   教団地下室に囚われている英国諜報員のアレンスキーは息絶え絶えながらも生きている。

   下水道から一人の人物がアレンスキーの囚われている部屋へ静かに鍵を開けて入って来た。全身が黒のアーミースーツで覆われている。顔も黒炭でカモフラージュされていた。

「アレンスキーだな」

「そうだ、助けてくれるのか?」

「大きな声を立てるな。歩けるか?」

「ああ、なんとか」

   しかし、彼の足は金属棒で貫かれて鎖の錠が掛けられていた。歩けるような状態ではない。注射器を打ってアレンスキーを眠らせた。彼を肩に背負い、教団地下室から下水道に潜り込んだ。下水道は迷路のようになっていて、更に地下通路が現れた。

   線路が敷かれている。まるで炭鉱のようだった。トロッコにアレンスキーを乗せ、その人物は自動ボタンを押した。動き出すトロッコにはアレンスキーだけが乗せられていた。 

 

  トロッコに乗せられたアレンスキーは英国諜報員の仲間に届けられ、治療を受けている。彼を助けた人物は誰なのか?  何故ASANOが博士の居所を探っているのかも謎のままだ。

 

モスクワは深い霧に包まれていた。