流星 おがしゃのブログ

冒険という夢を追いかけて世界を旅しています。いつしか世界中を巡り自分の居場所を探し出したいと考えています。 

旅すること

人生で一番幸せな時の流れ

赤い牡丹の花が咲いていた

赤と桃色の牡丹の花

 

重度の花粉症の僕は久しぶりに窓を開けた。

 

そこには今まで見たことのない赤色の牡丹が咲いていた。

 

いつもなら見ることのない風景が目の前に広がる。

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 まるでハイビスカスのような鮮やかな赤だ。

 

この季節に窓を開けることがない。

 

暗闇の中で芋虫のようにベッドに横たわって季節の移り変わりをじっと待ち続けている。

 

今は朝なのか昼なのかもよくわからない。ただ、花粉が部屋に入ってくることだけを恐れて怯えながら息をしている。

 

春の陽気は自然と太陽の明かりが窓の隙間から零れ落ちる。

 

物音がすると世の中の動きをうっすらと感じながら時の流れを待ち続けるのだ。

 

虫の冬眠から覚める歌声が聞こえる。鳥が喜びの声を高々とあげる。

 

冬の寒さから春の温かさに向かって全ての生物が歌声をあげているのだ。

 

土の中から目覚めた昆虫が気持ちよさように地上に顔を出す、うれしい歌声をあげたとたん鳥が歓喜をあげて嘴を突く。

 

春の訪れは生態圏の蘇生。

 

芋虫になってしまった僕はあともう少しで動き出せるかもしれない。

 

「もうすぐ、春の季節も終わるよ。もう少しの我慢だ」

 

華の妖精が語りかける。でも、陰鬱な表情をしていた。僕は妖精に言った。

 

「どうしてそんなに悲しそうに言うの?」

 

妖精はしばらく黙っていた。そして、暗闇の部屋の隙間に射す太陽の光を見つめながら僕に言った。

 

「お前だけじゃないのさ、こうして姿を現しているのは。もうすぐ君らの世界が自ら終えるんだ。だから、僕らは選んだ人しか姿を現さないし、話さないんだ」

 

俯き加減に羽を持った小さな人間の姿に似た妖精は申し訳なさそうに言った。

 

僕は彼が何を言いたいのか既に理解していた。それでも、聞きたいことがあった。

 

「僕は生きているの?」

 

妖精は頷いて、少し笑顔を見せながら僕のベッドの側から窓の隙間へ姿を消した。

 

僕はベッドから起き、部屋の掃除ロボットのスイッチを押して、外へと散歩に出かけた。もちろんマスクをして。

 

空気が少し軽くなってきたような気がする。

 

もう少しの我慢だ。やがて春が終わり梅雨の季節から夏に向かう。

 

僕が生きていける季節がもう少しで訪れてくれる。

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